昨年、Sakura-Conの日本人ゲスト担当課においてはOrg-modeを多用したわけだが、今年はそれを推し進め、更に多彩なソフトウェアを採用した。
Emacs/Org-modeの使用に関しては昨年の同じ程度のものであったが、今年はそれに加え、LaTeXとMobileOrgの使用も開始した。
LaTeX書類がどのように使われたか
LaTeXは大小問わず多彩な書類の作成に使用され、これらには議事録やマスタースケジュールブックなどが含まれた。これを実践するに辺り、LaTeXソースそのものの編集はテンプレートの更新程度に留め、Org-modeで行い、それを出力することを重視した。これはOrg-modeで記述されるデータの一貫性を保つことと、また、自分以外のメンバーが書類を更新する必要がある際に、できるだけ負担を減らす意味合いもある。(もちろんEmacsの使い方に関する学習曲線というものは存在するものの、Org-modeの記述の方がLaTeXよりも解読が容易であるため。)また、Org-modeは他のフォーマット、例えばOpenDocumentなどに出力する機能も備えており、共同編集の場合にはそれを行うためのファイルを出力することも可能であった。
書類作成としてLaTeXを採用したことにより、シェルスクリプトを使用することにより、個別に宛てた手紙なども作成することも可能であった。(これはシェルスクリプト経由で個別のジョブに対して違った変数を与えることで実行した。)
もともと手紙に関しては自分以外の担当者により準備されていたが、今回はギリギリまで変更が加えられる可能性があったため、このプロセスを採用することとなったが、この種類の書類に関してはその体裁も非常に重要となるため、ヘッダなどのデザイン要素をPDF部品として準備してもらい、それをLaTeX経由で入力していった。これは日本語と英語で行われ、行末のハイフン処理なども含め、非常にプロフェッショナルな体裁を使用することができた。
MobileOrg
MobileOrgの使用は以前より計画されていたものの、今回は限定的な使用にとどまった。現在のMobileOrg(Android版)の可用性があまり高くなく、まだまだ混乱しやすいものであった。そのため、シンプルなTODO情報をUbuntu Oneサービス経由で同期を行った。こちらに関しては引き続きプライベートな使用を続けており、今後また検証を行う予定である。
Sakura-ConでのOSS使用の今後
尚、この情報に関しては自分が所属する課で限定的に使用したものにとどまり、コンベンション自体が同じシステムを採用しているわけではない。ただし、Sakura-Conのような非営利組織の場合、個人のIT要件がそれぞれことなり、どのようなソフトウェアが個人でインストールされているかがわからないのも事実である。LaTeXを自由に使いこなす技術というのはMicrosoft Officeや、LibreOfficeなどに比べると比較的高いが、複数の環境で同様の体裁を予想できる形で出力できるという利点がある。
今後はオートメーションなどを更に進め、大きなライフサイクルとしての書類管理を目指したいと思う。